COLUMN

設計士が魅了される建築 【豊島美術館】

こんにちは、ディレクトです。

世界には数多くの建物が存在し、その中には、多くの人々を惹き付けてやまない「名建築」と言われるものがあります。

私たち設計士は、自分で設計するだけでなく、それらを見て歩くことも好きです。

素晴らしい建物を目の前にすると、言葉にできない感動に心が震えます。

そして、自分の設計や考え方に良い影響を与えることも少なくありません。

今回ご紹介する【豊島(てしま)美術館】もその一つです。

(引用元:benesse-artsite.jp/art/teshima-artmuseum.html

豊島美術館は、香川県の瀬戸内海にある小さな島「豊島」にある美術館です。

美しい棚田が広がる高台にあり、目の前に穏やかな瀬戸内海を望むことができます。

「美術館」ではありますが、普通の美術館とは違って展示されている物はなく、建築自体が作品となっています

設計は、建築家の西沢立衛さん

建築家・妹島和世さんと共同設計した「21世紀美術館」でも知られる建築家です。

豊島美術館にあるのは、白い大きなカーブに2つの穴が開いた洞窟のような「母型」。

この中では、地面の至る所から湧き出るように水滴がこぼれていくインスタレーションがあるのみ。

耳を澄ますと、開口部から鳥の声や木々の擦れる音などが聞こえてきます。

水滴の不規則な動きや天候、時間によって見え方が変わるのが面白く、静かに空間に身を置いて自然との融合を感じていると、いつの間にか時間が経ってしまっている不思議な建築です

自分自身と自然の環境、建物が一体となり、他にはない空間体験が味わえます。

風を呼び込む家

こんにちは、ディレクトです。

東から西へと爽やかな風が吹く、初夏を感じる気持ちの良い季節。

今年のゴールデンウイークは、みなさんどのように過ごされたでしょうか?

私たちは、家づくりにおいて、陽当たりと同じくらい「風通し」を大切に考えて設計をしています。

近年の住宅は、気密性が上がり「夏涼しく・冬暖かい」嬉しい効果もありますが、だからといって1年中窓を閉め切って過ごすのが、本当によいのでしょうか?

密閉しすぎる家は、空気が澱みます。

カビやホコリによる健康リスクの原因となるだけでなく、澱んだ空気の中での生活が居心地よいとは思えません。

そこで大切なのは「換気」=「風通し」です。

昔の日本家屋が長持ちする理由の一つは、程よく隙間風が入り、内外の温度差を少なくするよう考えられているからです。

内外の気温差をなくすことで、湿気を逃がし、カビ発生のリスクも軽減してくれます。

風通しは、家を長持ちさせるためにも大事なことなのです

家は生きています

密閉して息苦しい居住空間より、爽やかな風が通り深呼吸のできる家のほうが心地よいと思いませんか?

風を効果的に呼び込むには、設計において「窓」の配置がポイントになります。

対角にバランスよく配置する。

風を入れる窓は細く、風を出す窓は大きくする。

下から上に風が抜けるように窓を配置する。

このような窓を設計すると、爽やかな風が家全体を通り抜けて、程よく換気を行ってくれます。

2 方向にある窓には「自然に風が通る道を作ってあげる」という意味がありますし、ひらけた土地に対しては大きな開口を設けてあげるという考え方も、家に風を呼び込む設計のポイントになります。

ディレクトの家づくりでは、周辺の建物のスキマなども事前に確認し、考慮した上で窓の配置計画をしています。

「風」のことも考えて設計をして、より居心地のよい家をお造りしています。

店舗建築事例 【double(ダブル)】

こんにちは、ディレクトです。

今日は、弊社が金沢市で施工させていただいた店舗併用住宅の建築事例をご紹介します。

1階はご主人が経営する美容室「double」、2階は居住部分となっています。

以前はテナントを借りて美容室を営業されていましたが、店舗を構えるという新たな門出をお手伝いさせていただきました。

店舗は、使い勝手や美容室のイメージに合わせた造作家具を製作しました。

木の温かさに包まれて、リラックスした気持ちになれる空間に。

引き出し式の雑誌置きスペースなど、細かな部分までリクエストにお応えしました。

カットスペースには、それぞれ天井までの大きな FIX 窓を採用。

店内に豊かな自然光を呼び込み、明るさと清潔感、そして開放感を演出してくれています。

窓からは植栽がのぞき、お客さまがゆっくりと落ち着いて過ごせる店舗設計をご提案しました。

この植栽は、通路側の目隠し兼お庭の役目をしており、樹木の配置やバランスにもこだわっています。

受付カウンターは、スタイリッシュなモルタル仕上げに。

木の床やカウンター、白壁とも相性が良い個性的なコーディネートで仕上げました。

横にある四角い6つのドアは、お客さまの荷物を入れておく造作の収納ボックスです。

壁とドアの面がフラットになるように作られているので、スッキリした印象を与えてくれています。

初めて手掛けた店舗は、やはり特別なものです。

その想いをしっかりと受け止め、ご提案させていただきました。

お客さまに永く愛される美容室になっていかれることを願っています。

現場監督の重要性

こんにちは、ディレクトです。

家づくりは、設計士や職人さんなど、いろいろな人が関わって完成します。

その中に、「現場監督」という仕事をする人がいます。

お客さまとの接点が少ないので、陰に隠れがちな仕事ですが、実はとても重要な役割を担っています。

現場監督の主な仕事は、工事をスケジュール通りに進めること。

一言で簡単に言ってしまいましたが、工事が始まるとイレギュラーなことが度々起こるため、トラブルなくスムーズに進めることは大変困難です。

・図面通りに進んでいるか?

・建築材が不足していたり、到着が遅れたりしていないか?

・職人さんの段取りが滞りなくできているか?

・施工がしっかりと丁寧に、質高く行われているか?

…など、数えればキリがないほど多くの仕事があります。

発注数の見極めや、品物を現場の進行状況に合わせてタイミングよく納品することも求められます。

他にも、素材の仕上がりをチェックしたり、施工のトラブルがあれば設計士と相談してやり直しをすることもあります。

さらにもう一つ、現場監督の大事な仕事が「近隣への配慮」です。

むしろ多岐に渡る仕事の中でも、一番大事だと言っていいと思います。

工事を始める時に挨拶回りをしたり、工事中の騒音などに配慮したり。

オーナーさまは、その場所でこれからもずっと住まわれるわけですから、始まり良ければすべてよし、工事によって近隣とのトラブルが起きないように常に気を配っています。

現場監督は、家づくりに関わる物や人をつなぐ架け橋のような、なくてはならない重要な仕事なのです。

一本の線にのせる想い

こんにちは、ディレクトです。

お客さまの「家づくりへの想い」は、お一人おひとり違います。

私たち設計士は、その想いを聞いて図面を書きます。

だから、100人のお客さまがいれば、100通りの家ができます。

お客さまが何を求め、どんな住まいが心地よいのか?

家の形、天井の高さ、窓の大きさ、間取りなどひとつひとつに意味があり、同じものはありません

様々なことを熟慮した上でデザインするので、自信をもって提案でき、お客さまの家づくりの想いをカタチにできるのです。

図面に線を引くことで、全体から部分的な大きさまでを現し、それを基に新しい暮らしでの人の動きや生活スタイルを提案します。

一本の線に幅を設定すれば、壁厚による断熱性や遮音性を表現できます。

壁の高さを設定することで、内外からの視線やプライバシー、方角や季節による陽の入り方などを検討することができます。

図面に書かれているのは、一本の線の集まりかもしれません。

しかし、その一本一本には、いろんな意味とお客さまの大事な想いが込められています

このように、丁寧に描かれた図面から造られる家は、きっと居心地の良い愛着を持って暮らせる家です。

これからも、そのような良い家を造り続けたいと思っています。